眠眠カフェイン

横になって読みたい寝言

眠眠カフェイン

年下・キャワイイ・デイズ

いい加減隠すと話しづらいから言うんだけど、いま僕は人事系の仕事をしています。
「求人に応募してくれた人を、社内もしくは別の会社に紹介する」と。
つまりは来る日も来る日も面談する役回りです。

 

ところが、このご時世で有望な20~30代も市場には少なくてですね。
来る日も来る日も過去のリストへ架電して掘り起こすわけです。昔から人材畑にいる人は掘り起こしになんだか絶対的な信仰を持っているらしく、「10回でダメなら30回かけろ!いつかはつながる」とこう来るわけです。

★興味がある方は最近の<仕事!バイト!ニート!>カテゴリ投稿を見ていただけると、より理解が深まるかもです。

でも、不毛じゃないですか。
面談係みんながみんな、仕事に応募しといて連絡すら取れない無能に電話かけてるなんて。
僕をこの会社に誘ってくれたY君(他の会社に紹介する部門の営業)に鮮度のいい人材を送りたいという意志もあって、水面下で乗っ取り工作をはじめました。

 

まずは既存の集客担当者を懐柔。Webコンテンツ、スカウトメール、リスティング、メルマガ……みんな片手間で嫌々やってたから効果も薄くて、こっちから「ちょっとやってみていい?」って申し出たら、喜んで任せてくれたんです。

元が元なので、応募者は分かりやすく増えました。特に、同じ面談チームの人たちはすごく喜んでくれた。新しい応募者が増えれば不要な掘り起こしも減るし、コンテンツ改善後の応募者は理解度がまったく違いますからね。
ということで二刀流おじさんが爆誕。今では、僕の業務のうち約30~40%を集客業務が占めるようになりました。

 

こうして割と仕事が楽しくなってきたんですが、ここには大きな問題があります。
というのも、集客やっても僕には何の得にもならないんですね。僕は本来面談係として雇用されたわけで、KPIは面談・紹介数で設定されてるから。

加えて僕にはビハインドがあります。面談係が担当応募者を確保するためには、他部署が更新してる応募者一覧スプレッドシートに、早い者勝ちで自分の名前を記入する必要があるんですが‥‥書きもの仕事をしていると、どうしても他の方に比べて更新チェックのペースが落ちてしまうのです。当然、面談数も思うようにあがりません。

 

自分にとってやりがいがあり、会社の利益につながる「集客」をやればやるほど、自分が損するという構造。

 

そんな中、日々心をむしばまれているのが同期のO君。僕と同じくフルリモートなので、自宅で鬱々とした毎日を送っています。

彼はフリーランスで人材紹介の経験が数年あるとはいえ、まだ20代半ばの若手です。何も教えられず、鮮度カッサカサのリストに架電して、手ごたえのない日々に悩んでいます。長身・塩顔のイケメン、性格も謙虚で、仕事もしっかりできるんですけど、相手がいないんじゃ結果は出せないですからね。

 

いや、うちの面談チームの無関心ぶりったらないんですよ。長期リモートはここまで人の心をパラパラチャーハンにするのかとびっくりしてしまうくらい。

部署構成は
・30~50代のベテラン社員が5人
・O君(20代半ば)
ネムヒコ(40代前半)
という感じで、こんなん普通、どうやっても若手チヤホヤムードになるじゃないですか。

「O君はしっかりしてるわねえ。それに比べてネムヒコさん、頑張らないと!」
と当て馬にされるのは目に見えてる。が、全然ない。むしろ勝手に動き回る僕の方が馴染んでるし重宝されてるくらい。えっ、ここスウェーデン?ってくらい鬼フラットです。

 

必然的に、最近は僕がO君をフォローするようになりました。ご飯を食べたり、サウナに行ったり。プライベートでぶっかぶかの服を着てくる彼を見るたび、若いなーと痛感します。

O君は繊細の中でもトップクラスの繊細。繊細界のシャトーブリアンみたいな上級部位なので、選ばれしもの特有の「人が怒られていると同じくらい傷つく」体質をもっています。もちろん、そういう自責体質だからこその鋭い観点もあって、ビジネスの話を聞いていてもとても楽しい。

話せば話すほど現代っ子で、末っ子で、愛情に飢えていて…。なんでこの子をかわいがらないのかと、同僚たちに腹が立ってくるほどです。

 

このまま放っておくと辞めそうなので、最近は集客策の一環として、上長にSNSプロジェクトを上提案してみました。彼はフリーランス時代にinstagramをフル活用してたから、絶対重宝されると思ったんですよね。最近では目論見通り、少しずつまわりとの絡みが増えてきたようです。

僕にとっても彼の存在が癒しになりつつあるし、できるだけ一緒に仕事したいですからね。少しでもお手伝いできればという感じです。

 

僕らのチーム、ムダにギスギスしてるんです。面談チームも営業も事務も経営統括も、個別で話せば誰ひとり悪い人はいないのに、なんだかみんなゆるくやるのが上手くない印象。クラスの優等生たちが「ちゃんとしようね」と声を掛けあって自浄しようとしてるけど、それしか言葉を知らないから袋小路にハマっている。

ここはいっちょ僕みたいな人間が、「ぶっちゃけあれ辛くね?これでよくね?」とフマジメにかき回すべきなんじゃないかと。メタジョークを乱射し、膿を吐き出させて、組織にゆとりをつくろうとしているところです。

この年になるとほとんどが年下になりますし、マジメにやってる若手がやたらとかわいく見えるんですよね。絶対、もっと楽しくやりたいに決まってる。ということでこっそりプチカウンセラーみたいな動きも取り始めました。‥‥そんなスマートじゃないかな。風俗、と言い換えてもいいかもしれません。

 

まあ結果が出なかったら平気で切られる会社なんで、こんなKPI・KGIの足しにならない動きをするのも危険ですけどね。たとえ売り上げがこのまま伸び続けても、僕個人が消える恐れは十二分にある。

まあでも、その時はみんながプチ署名くらいしてくれたらいいかな、くらいに思ってます。