眠眠カフェイン

横になって読みたい寝言

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\春爛漫!/学生さん限定 マジックミラー公

今日はちょっとした手続きのため新宿区の出張所へ。すると、いつも1~2人くらいしかいない待機スペースに人だかりができてました。どうやら、新年度で中学人留学生が押し寄せたようです。

「158番の方どこ!?」
「いない! いま、コンビニ行ってる!」
「じゃあ160番代の人先にきて、まとめて処理するから!」
「160番誰だ160番…わっ!かえってきたよ158番!」
「じゃあこっちこっち、158番さんお帰りですー」

思わぬ大バズりに、案内係の人も敬語を取っ払って最短距離で対応してました。こういうときのタメ語はいいですよね。勢いあまってこっちにも「お前は?」とか言ってきたらさすがに戸惑いますけど。

 

おかげで、本来なら5分で済むはずが1時間かかりました。
僕はいらちじゃないので気長に待ってましたが、さすがにスマホばっかり見てるのも味がないなと思って、後半は展示物を見ながらフラフラしたり。そこにしかない楽しみを見出そうとしてました。

で思ったんですが、役所って自我をデトックスするにはすごく向いた場所なんじゃないかと。誰もが番号で呼ばれて、どう考えても順番通りに案内されて、もし職員が偉そうでもお願いするしかない不条理。この型通り具合って、忙しい大人には辛くてもある種有益に使えるんじゃないかって。

いまや世間は”若者の可能性”の大合唱です。学生のうちからインターネット三昧なら、自分はなんでもできると勘違いするヤツも増えるでしょう。そういう子たちに、一回現実のカウンターを見せておいた方がいいと思うんですよね。君は確かに人生の主人公だけど、主人公ってなんでもかなうわけじゃないよって。
そういう意味でも、ぜひ公的施設の風景を見せてあげたい。

とはいえ、たった1時間のいいとこどり見学ツアーじゃ意味がありません。フロアをまるまる囲うようにマジックミラーを設置して、その外側で8時間しっかり時間をつぶさせるんです。もちろんスマホも、私語もダメ。

 

ハローワークなんか最高の教材になりますよ。あそこには強靭な「停滞」の気があります。神社や刑務所みたいに律することを命じられた空間にはない、自律的で、積極的な停滞がある。決して美しくはないカタチで、人生の主人公たちがもがいているわけです。(もちろん僕も含めてです)

鼻くそをほじってそのままマウスを触る大人。もう職員くらいしか味方がいないというのに、それでも怒鳴りつける大人。逆に、職員の四角四面な対応に幻滅することもあるでしょう。どちらにしろ、公を通した調和と奉仕のテイストを感じればいいのです。

 

人間観察にも飽きたら、そのうち施設の細部にも目をやるでしょう。専門家ではない人間に仕方なくつくらせたときにしか出ない、絶妙にダサい広告物。紙媒体は費用重視でわら半紙か色上質紙ばかり使うから、パッとしなくて、若者は普段なら死んでも手に取りません。変な言い方ですけど、わかものハローワークの”わかもの”には、リアルの若者は含まれてないんじゃないかと錯覚させるほどすべてが古臭く仕上がっています。

だからこそ、リアルの若者を8時間くらい押し込む意味があるんじゃないかと。思春期には死んでも読みたくない区の会報誌も、死ぬほど暇なら読むかもしれない。そこから得られるものもきっとあるはずです。

あとはアメとムチじゃないですけど、サクラとして有名人を放ってみるのもいいかもしれません。「うわ92番って橋本環奈だ!」とか、「へー、ホリエモンでも番号で呼ばれるんだ」とか、学校では教えてもらえない平等の概念に気づくかも。まあ、ホリエモンはどっかで番号で呼ばれてましたけど。

 

……なんてことを考えて、1時間を過ごしました。
個人情報の保護、実現可能性とかは知らん。でも制限の中から生まれるアイデアって、確かにあると思うんだ。

ちなみに今日出会って嬉しかった紙媒体は、高齢者向けのミニコミ『朗報』。
【朗報】俺氏朗報発見、でした。

 

※念のため、元ネタが分からない方はこちらを参照。
マジックミラー号 - Wikipedia