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電話嫌いな同期社員の言い訳がレインボウ


以前の投稿↑でちょっとだけふれた、発達障害に関して。

前職の同期であるI君はとても偏った性質の人でした。何をするにもドタバタしてて、〆切を守らないのは当たり前。商談では相手と目を合わせないどころか、トイレ帰りにワイシャツ丸出しのまま名刺交換することもありました。

 

今の時代、電話が苦手だという人は増えているようですが、I君はレベルが違うというか。研修で1時間ほどやらされたのがトラウマになり、その後なんと3か月以上電話を取らなかったのです。頻度が少ないとかじゃなくてゼロ。毎日取れと言われて、ゼロ。

I君はそれまでフリーライターをやっていたので、会社で受ける電話の雰囲気に飲まれたみたい。形式的というか冷たいというか。そのくせ「別の方に変わって」と静かに怒られたりして、苦手意識がついてしまったみたいです。

それにしても、まったく取らなくなるなんて。仕事でそんな選択肢あるの!?とカルチャーショックでした。年下と言ってもI君、34歳ですし。

 

当時はコロナ不況真っ只中。会社としても営業が攻めに専念できるように、代表電話は事務方が率先して受けるよう指示が出ていました。不公平案が出ないよう、個々人の受電量は日々報告されられていたし、さすがにゼロ行進だと周りの目も厳しくなります。

そこで、当時の上司と実質の教育係だった僕で、あらためて彼に理由をきいてみることにしました。

 

その言い訳と、上司からしっかり打ち返される流れがあまりに華麗だったので、レガシーとして記録しておきたいと思います。

でっちあげた言い訳の数、実に10分で7つ。

 

耳が悪いんです

腹が痛い、頭がいたい。ギターなら指が短い。
身体のせいにするのは言い訳界のスタンダードですね。

とはいえ、ビジネスにでその主張を通したいならエビデンス(診断書等)がセット。ほかの業務で彼の耳の不調はいっさい感じなかったので…。

上司からは
「落ち着いてやれば大丈夫です」
と落ち着いて返されていました。

顔が見えないやりとりが苦手で…

これもよくあるヤツ。
じゃあネットは?メールは?遠距離恋愛の彼女と久々の電話でもそんなこといえんの?となるわけですが、聞く限り電話限定だったみたいです。

上司は
「対面業務でも人とお話しするのは苦手ですよね。顔云々じゃなくて、慣れない相手とのコミュニケーション力をつけましょう」
と一蹴。

文字で書くと優しく見えるかもですが、「よくもそんなことを!」みたいな表情で告げてます。

 

 

受話器の使い方がわからない

たしかに、携帯に親しんだ世代は固定電話のない家もあるだろうし一理あるか…いや、ない。だってI君30代だし。
それに、オフィスの電話なんてスマホより簡単なので、操作できなきゃいろんな意味で残念です。

上司は
「では以前お渡しした電話のマニュアルをあらためて渡しておきます。大丈夫ですね?」
で終わり。

その後、電話にチャレンジする前に分厚いマニュアルを見る彼の姿には哀愁すら覚えました。ほとんど保留ボタンしか押さないのに。

 

1度取り出すと電話番にされそう

まだ電話に出てもいないのに、斜め上の発想ですね。まるで理想の女性像を語るDTのようなすがすがしさ。もしかして、彼の隣で1日20件も30件も電話を取りつづける中年男性を哀れみ、言い訳のヒントを得たのでしょうか。

「それオレオレ!」
この言い訳に限って、反論したのは上司でなく僕でした。

 

 

電話なんて時代おくれだ

電話はいずれなくなる。どうせやらなくなるスキルを身につけてどうするんだ。
そんなホリエモンみたいなことすら言い出しました。

上司は
「会社の方針なので」
と端的に回答。

うーん。気持ちは分からないんでもないんですけど、ホリエモン並みのぶった切り力を発揮するなら、行動力も発揮してほしいですよね。それこそ電話に代わる新ツールを提案したらみんな喜ぶし。

今はまだ電話があるんですから、やりましょう。SDGs視点から昆虫食を推進する人も、いまから昆虫づくし弁当ばかりを食べてるわけじゃないんですから。

 

会社の体制が疑問です

この辺からI君もちょっとずつキレてきました。うちの部署はライティングがメイン業務だろう。なぜ半ば強制的に電話を取らされるのか?と開き直ったのです。(取ってないけど)

上司の答えは、
「取引先を覚えて、社内構成を知り、ビジネス敬語に慣れ、臨機応変な対応力をみにつけ、新人が先輩たちの負担を減らせる数少ない業務だから」
と合理のかたまりでした。

すると、またI君は感情的になってしまう。感情で行くと合理で返すし、合理で行くと感情的になる皮肉。

 

会社に迷惑をかけたくない

最後に言ったのがこちらです。いい大人から発された言葉としては一番がっかりしましたね。電話以外には迷惑をかけてないとでも思っているのかと。

人間みんな足りないところがあって、補い合いながらやる。そのための最初のチャレンジで恥を恐れてどうするんだと、金八ばりに説かれてました。

こういうやつには会社負担でおでこに「人」って墨入れさせるべき。

 

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どうでしょう。
後輩くんが掲げた七色の虹は、みなさんの胸に何を降らせたでしょうか。苛立ち?トラウマ?老婆心?

「いろいろ挙げるけど、単に人前で話すのが恥ずかしいんだろう?」

部署にいるだれもがそう感じていますが、彼の言い訳は止まりませんでした。手を伸ばしてはひっこめ。忙しい振りをしてやり過ごすだけ。

 
上司が他部署へ移籍し、僕が部署長になってからは、むしろ彼を発達障害と決めつけるくらいの割り切りで指示を出しました。
・分厚いマニュアルは一切見るな
・9割は〇〇の件に関する電話だからそれだけできればOK、例外は俺に聞け
・電話番号が分かれば顧客データベースと照合できるから、最初の”お世話になっております”をゆっくり喋ってメモっておけ
ほかにもいろいろ。
おそらく軽度ASDの類なので、シングルタスクだよ、君の失敗で最悪の事態にはならないよ、といったアドバイスを出し続けました。
(単に教育係だったときは、自分で解決できるよう極力甘やかすなと言われてできなかったんですが)
 
結果、1カ月ほどしてI君は1日2~3回程度なら取れる身体に。それでも少ないし、つっけんどんな対応も多かったので他部署からの苦情は続きましたが…少なくともその後入ってくる自部署の後輩から、「電話すら取れない先輩」という不名誉な見られ方は避けられたと思います。
やっぱり、下手とやらないのはまったく別ものなので。
 
僕はこの時期にASDに関するYoutube動画を見まくり、I君に対する対応を学びました。同期と言いつつも人生で初めての部下ですからね。それなりに思い入れもありました。
結果として、最後は後ろ足で砂を掛けられることになるのですが…それはまたまた別の話。