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果物×ダジャレで素敵な本のタイトル選手権


僕は中年のクセにダジャレをまったく言いません。はずいし。
周りの同世代はどんどん羞恥心の弁が緩んできていて、下らないのをさんざまき散らし始めている。
そんな光景に危機感を感じる毎日です。

ただ、行き過ぎた禁欲は反動があるもので。
この間ついに本格的なゲシュタルト崩壊を起こしてしまいました。

「果物のダジャレって結構文学的で、本のタイトルにできるんじゃないか?」
なんて禁断の果実に手を出してしまったのです。

そこから、どれがベストかと夜通し考えた成果が今回の投稿です。

<ダジャレの芸術点>+<本のタイトルとしての雰囲気>各10点、計20点満点ででランキング形式にしてみましたので、よかったら見てみてください。

※あくまで果物名で、品種名は対象外
※該当果物の中で極力良さそうなダジャレを選ぶこととする

※体調が悪くなったらすぐにブラウザバック推奨

 

🟡20位『パパイヤ食べるパパ嫌』

2pt(ダジャレ芸術点1/本の雰囲気1)

パパイヤがこの使い方以外ないので芸術点は皆無。本にするにしても、相当展開に制約があると思います。ちなみに僕は自分の父親がパパイヤ食べてるの見たことがありません。

 

🍈19位『あきらメロン』

3pt(ダジャレ芸術点2/本の雰囲気1)

いいとこ名前が「あきら」のタレント本でしょう。ただ清水アキラ中尾彬北斗晶EXILEAKIRA…どれもあんまりしっくりこない。いいとこにしきのあきらかなあ。
『諦め論』とかけて、みうらじゅんさんあたりが書きそうですが、書き手を限定しすぎるのはイマイチ。

メロンは意外にダジャレにしづらくて、やメロンか、メロンメロンか、『メロンソーダめ、論争だ!』とか強引すぎるのしかなかったです。

 

🟢18位『マスカットで頭スカッと!』

4pt(ダジャレ芸術点3/本の雰囲気1)

マスカットという難しいお題をクリアしてる点だけ評価。本のタイトルとしては違和感が強く、イタリア発のドタバタコメディ映画(Clear your head in Muscat!)が流行って書籍化→日本に輸入されたとかしかなさそう。もちろん売れません。

 

🟡🍃17位『ゆずを譲る』

5pt(ダジャレ芸術点2/本の雰囲気3)

なんか、SVOがしっかりしすぎててしんどいです。どうにか『舟を編む』みたいに聞こえないか頭でシミュレーションしたけど何度やってもダサかった。妻が愛したゆずの木を守る老人の話とか、展開的にはなんとかなりそうなんですけど。

 

🟠16位『杏のことは案ずるな!』

6pt(ダジャレ芸術点3/本の雰囲気3)

古ーい深夜アニメみたいな語呂ですねー。気の強い生徒会長が腰に当ててそうです。味はないけど上に出たやつよりはナチュラルなのでこの位置に。

 

🍐13位『用無しの洋梨

7pt(ダジャレ芸術点3/本の雰囲気4)

13位は同率で3つがランクイン。
ちょっとだけ格言、古典みたいな雰囲気を醸しているので、筆文字で手書き風タイトルにしたら格好はつくかもしれません。軽度の障害があり、近所から「何やってんだ洋梨野郎!」とののしられる大男のサクセスストーリーとか…? 洋梨がポピュラーに流通してる国とあんまりカラーが合わなそうですが。

 

🍌13位『そんなバナナ』

7pt(ダジャレ芸術点5/本の雰囲気2)

果物ダジャレ界では抜群の知名度を誇る王者。実際にいくつかの本のタイトルにもなっています。

『こんな夜更けにバナナかよ』の例もあり、”バナナ”の文字単体に強いエネルギーがありますね。それだけに狙いすぎるとすべりそうですが、(バナナだけに)作家さんのカラーによっては抜け感が強調されてかけって好印象にもなりそうです。柚木麻子さんとか?

 

🍓13位『苺一会』

7pt(ダジャレ芸術点2/本の雰囲気5)

パパイヤ同様ほぼこれしかないダジャレなので芸術点低め。格言になってる分まだましです。
”甘酸っぱさ”と”出会い”に親和性が高く、語感はごくごく自然。少女漫画やラノベにも類似タイトルが見つかりました。難点は、いかんせんセンスが中途半端に古いこと。いち”ご”の濁点をイチゴのイラストにしちゃったりして。

苺畑は~とか、とか苺摘みは~とかにすると雰囲気はアップしますが、今回は極力余計な装飾なしでやっております。

 

🍉12位『スイカ、安いか?』

8pt(ダジャレ芸術点4/本の雰囲気4)

文章として不十分すぎて、逆に『チーズはどこへ消えた?』みたいな海外ビジネス本の雰囲気が漂います。帯には「大きいのに安い=コスパが良いは大間違い!」とか書いてありそう。


🍑11位『桃も』

9pt(ダジャレ芸術点6/本の雰囲気3)

果物ダジャレ界最短というだけでも意義深い作品。ジャンルはいけすかないアート系で、なんかの作品集か、名前に「桃」がつくモデルさんの写真集でしょう。タイトルはしゃしゃしゃーっと流して描いた細い字体で、「桃も。」と句点がつく可能性大。

 

🍋10位『レモンのいれもん』

9pt(ダジャレ芸術点5/本の雰囲気5)

良くも悪くもなんか聞いたことある感に親しみ。たぶん、吉本ばななさんかさくらももこさんのエッセイでしょう。渡辺満里奈さんだったかも。

 

🍒9位『さくらんぼを割くランボー

11pt(ダジャレ芸術点2/本の雰囲気9)

怒りのほうじゃなくてアルチュールの方ね。詩人×フルーツで文学性はピカイチながら、固有名詞を使用しているためダジャレ面は大幅減点とさせていただきます。『貴一好みの木いちご』とか、具体性が出ると雰囲気にドーピングかかっちゃうので。

 

🍇8位『ぶどう、一粒どう?』

12pt(ダジャレ芸術点7/本の雰囲気5)

「ぶどう ひとつ ぶどう」の美しい構成は出色。そのわりに、作品名としてはなかなか雰囲気を感じないのが不思議です。7粒とか、100粒とかのほうが思わせぶりでいいのかなあ。ズルくなるけど。

まあこういうのは副題をつけてナンボかもしれませんね。~フランス人はテーブルの上で女性をくどく~ とか添えといて。

🍍6位『パインすっぱいん?』

13pt(ダジャレ芸術点6/本の雰囲気7)

同率6位はふたつ。方言が自然で、愛嬌があって好きですね。関西弁男子が主人公の絵本一択。
好きな子の家で食べたパインが忘れられず、「おかん ぼくにも パイン こうてえや」「なんや あなあいてて スカスカやん そんしたなあ」みたいな流れで、パインの穴から好きな子をのぞくまでがセット。

 

🍊6位『アルミ缶の上にある蜜柑』

13pt(ダジャレ芸術点6 本の雰囲気7)

いろいろ先入観を取りはらえばオシャレに見えなくもないですが、文学界ではどうしても「ぽつんと乗っかってる果物=檸檬」のイメージが強ぎるのでパクリ感が拭えない。むしろ英訳『A mandarin orange on top of an aluminum can』のパンク感で、檸檬を知らない世代の海外文学ファンたちに日本の新しい純文学を伝えたい。願わくば町田康

 

🍎4位『隣国の林檎食う』 

14pt(ダジャレ芸術点6 文学的雰囲気8)

4位もふたつ。日韓の品種盗用問題をめぐるノンフィクション、とかでどうでしょう。カドが立つテーマだからこそ、ダジャレでマイルドにしてかわしているのが小粋に感じました。にしても、”スリリングなすりりんご”といいリンゴ系のダジャレは緊張感がある。

 

🥥4位『9つのココナッツ』

14pt(ダジャレ芸術点7/本の雰囲気7)

シンプルかわいい。難しいお題に加えて、数字が入るというオンリーワンの輝きがあります。エッセイ、冒険ものから美容・レシピ本まで意外と幅広くいけそうなのも◎。

 

🔴2位『梅は、うめえ』

15pt(ダジャレ芸術点6/本の雰囲気9)

同率二位の一角がこちら!17位の「ゆずを譲る」に次ぐシンプル構文ながら、「うめえ」と人情味が入るだけでこうも余白が違うとは。バカっぽさが見事に力強さへ昇華されています。

片田舎の酒造がつくる梅酒がYoutubeかなにかをきっかけに海外のコンクールにノミネートされるが、世界のメディアから総スカンを食らう。頑固な蔵元は長年受け継いできたレシピの改良を拒むものの、若手の女性社員のアドバイスを嫌々取り入れながらリベンジを果たす的な。映画化したら歌は竹原ピストル氏で。

 

🌰2位『繰り返す栗』

15pt(ダジャレ芸術点5/本の雰囲気10)

文字面からストーリーがさっぱり読み取れないのが逆にミステリー。タイトルの後に東野圭吾とつこうが、湊かなえとつこうが恥ずかしくない懐の深さを感じます。やっぱり日本の言葉遊びにはネイティブ果物が合いますね。

『搔き鳴らす柿』っていうのも考えたんですが、微妙に”鳴らす”がずるいのと栗とキャラ被りしているので略。

猿蟹ストラテジー(前) ―掻き鳴らす柿―
猿蟹ストラテジー(後) ―繰り返す栗―
と続きものだと考えていただければ。


🎊1位『果物は毒だもの』

16pt(ダジャレ芸術点8/本の雰囲気8)

栄えあるトップがコチラです!
果物のダジャレに「果物」を入れていいかは賛否あると思いますが、コミッショナーの僕としては、それが逆に王道感アリという判断で認めました。

文字数にも無駄がなく、意味合いも思わせぶり。”毒”の一文字がかえって果物のみずみずしさを際立たせます。2位の「梅はうめえ」同様、ちょっとした語尾で新鮮味が全然違ってくるんですよね。いやいやコピーって奥が深い。

 

🍏🍏🍏
夜中にこれを編集しているときの僕は、ファニーではなくインタレスティングな気分だったのでわりと無表情でした。
(BGMは青葉市子さんです)

「そんなバナナの順位高すぎるか…だったらぶどう一粒どう?のほうが…」とかやってた自分が、今思い返すととってもファニーです。

いつまでもみずみずしい知的好奇心を持ち続けたいものですね。

今回、主に参考にしたのは「ダジャレ・ステーション」さん。
くれぐれも僕が考えたんじゃないことだけ言い分けておきます。