眠眠カフェイン

横になって読みたい寝言

眠眠カフェイン

中村静香さんと写真を撮りたいという夢

人の夢の話なんて退屈だと思うけれど、とにかく自分に絶望したので自戒を込めて書き残すことにした。
自分は40にもなってまだこんな感覚でおるのかと。

 

***

夢の中で、僕は霜降り明星せいやさんの自宅で開かれるパーティーにおよばれしていた。さすがのタワーマンション高層階で、リビングは体育館位にだだっぴろい。どうやら日ごろから仲良くしている近所の子供たちに、おもてなしをする回らしい。保護者の姿はなく、20~30人の子供たちだけが集められていた。
なぜか僕もいた。妻なしで。誰も知り合いはいないので、適当に唐揚げやポテトフライをつまんで、なにやら武蔵小杉っぽい夜景を眺めていた。

すると、そこに(元?)グラビアアイドルの中村静香さんがやってきた。今は深夜の通販番組などでおなじみの方も多いのだろうが、僕にとってはかなり徳の高い御方。現役時代は
「えっ、貴方が水着になってくださるんですか?」
と強めの敬意をもって拝見していた。リアルでも夢でも、せいやさんとの関係性は分からないが…僕は特に嫉妬することなく、ただただ突然の出会いに感謝していた。

 

「写真、撮ってもらえませんか?」
気がつけばそう口走っていた。さすが夢だ。日頃できないことを平然とやってのける。

「いいですよ♪」
中村さんはそういうと、おもむろに服をはだけさせた。なんと上半身だけとはいえ、水着になってくれる神対応だ。テレビで見た”アイドル飲み姿カワイイ選手権”の時とまったく同じ笑顔で、軽いポージングをとってくれている。

僕はすっかり有頂天になって、即座にスマホを探し始めた。自撮りだろうか、誰かに頼むべきか、とにかく一緒に写真が撮りたい。ただ悲しいかな、夢によくあるように、すべての動作がまどろっこしく要領を得なかった。

しばらくモタついていると、信じられない展開が起きた。リビングのほうから大量の子どもたちがやってきて、僕と中村静香さんを取り囲んだのだ。写真を撮るのなら自分たちも映りたいし、綺麗なお姉さんが脱ぐのなら自分たちも脱ごうと思ったのだろう。キッズはみな一様に半裸か全裸だった。

その瞬間、僕は妙にリアルな正義感を掲げて憂う。
「ダメだ!今写真をとったら児ポ法に触れちゃう!」
なんとか子供たちに毛布をかぶせて事を収めようとするが、みんなやたらとじゃれついてきて離れようとしない。

 

そこからの僕は私欲の塊と化した。いや、本当にみっともない有様だったのだ。クローゼットやトイレなど、せいやさんの家にある空間という空間をチェックして、誰にも邪魔されずに写真が撮れる場所を必死に探し始めたのだ。体感にして10分~20分。僕はベストロケーションを求めて奔走した。

やっとのことですりガラスのシャワールームを見つけ、中村静香さんを呼びに行くと、子どもたちの姿は忽然と消えていた。そこにいたのは家主であるせいやさんと、すっかり服を着こんで僕を蔑むような中村静香さん。
いかにも「必死過ぎる…これだから一般人は」といった表情だ。


僕は自分の浅ましさに打ちひしがれた。
そうまでして、有名人と写真を撮るミーハー心に執着したこと。
女性の気持ちや、子どもたちのはしゃぎたい気持ち、家主の迷惑の一切を顧みなかったこと。水着でなくても嬉しかったのに、いざ水着になってから服を着られるとどうしようもなく残念に感じたこと。
シラフの自分ならいかにも嫌いそうな俗物根性のオンパレードに、すっかりがっかりしたのだった。

***

有名人の夢を見ていい気分になったことはほとんどない。
理想通りの展開になることはないし、なったとしても現実に戻った悲しさが募る。厳密にいうと、現実に戻ったことは残念ではないはずなのに、残念と錯覚してしまうことが悲しくなる。

昨日の投稿は、この夢のモヤモヤを晴らすために書いたものでもある。
「人間、カッコつけて生きてるよな!」
「好きな人の前で空回りするなんて当たり前だよな!」
現実から夢の自分を励ますという、なんともファンシーな営みをしてしまったものだ。

 

目覚めてから、中村静香さんの画像を検索してしまったのは言うまでもない。
夢を見た唯一のメリットとしては、彼女の魅力を再認識できたことくらいしかないのだから。
ただこれも悲しいもので、彼女に気持ちが募るほど
「お酒好きの人が下戸の俺と一緒にいて楽しいはずないよな…」
とまた要らない妄想を持ち込んでしまうのである。

どこまでも、どこまでも、夢は終わらない。