眠眠カフェイン

横になって読みたい寝言

眠眠カフェイン

ただただ口内炎のブルース

いつのまにか現れて、気が済むまで居座る憎いヤツ。

🔥口・内・炎🔥

その痛みはまさに炎のごとし。話す、食べる、笑う。日常のポジティブ動作を罪に変え、きわめて効率的に「当たり前の幸せ」を分からせてくれます。

 

思えば今週はまさに死闘でした。
上唇やや右側に痛みが生じて以来、寝ても覚めても考えるのは患部のこと。
それでも、冷蔵庫には期限切れギリギリの食材が詰まっています。大の大人のこの僕が、口内炎ごときで廃棄品を出すわけにはいきません。

毎日最低1食、特にメインとなる昼飯は、真っ向勝負を挑みました。

 

月曜日はミネストローネ
圧倒的ラスボス。いきなり心を折られかけます。熱く、酸っぱく、イタリアンマフィアの如き容赦ない波状攻撃に、僕は困った時のデニーロみたいな顔でちょびちょび飲むのが精一杯。体感ではゴッド・ファーザーくらい時間がかかったせいで、とてもメイン料理を作る気にはなりませんでした。

 

火曜日はしゃぶしゃぶ
白菜とエノキを大量消費するためとはいえ、あまりに無謀でした。熱さはポン酢で冷やすので大丈夫とふみましたが、そのポン酢が想像以上に劇薬。やっぱり熱さとか辛さより、酸味が一番ダメです。唇が怯えたなめくじみたいにキュッと締まりやがります。アシカの餌付け調に上を向いて豚を流し込み、なんとか汁気地獄を完遂。

 

水曜日はカツサンド
熱なし酸味なし汁気なし。朝はだいたいトーストを食べており、その延長でいけると思ったんですが……誤算だったのはその厚み。自分が思った以上に、口を開けられないのです。まさかカツサンドをパン、カツ、パンの分割払いで食べるわけにはいきません。電流イライラ棒みたいに唇のゲートを通そうとしますが、ちょっと当たった瞬間に身震いするほどの痛みが襲います。

打開策として、右手で上唇を引っ張ったままかぶりつくことにしました。想像してみてください。ものすごい絵ヅラですよ。

 

木曜日はかき氷
いいえ見間違いじゃありません。お昼ご飯が、かき氷です。妻が有給を取っていたので、せっかくだからと事前に予約していたのです。

さすがに公衆の面前で唇引っ張り大作戦は使えないので、「頼む!」と念じてパクリ。‥‥いける!やっぱり、冷たい&甘いは大丈夫そうです。杏の柑橘要素は不安でしたが、圧倒的冷たさが麻酔みたいに作用してくれました。反面、甘酒ホイップの繊細な風味はほとんどわからず。
この破天荒な食事を経て、痛みが下降線に向かいます。

 

そして、金曜日は肉そば。(前回の投稿で写真を載せたやつです)
ここは勝負と見て、難関に挑みました。やや治りかけてきたからこそ甘えず、人目に身をさらして心を鍛えようとしたのです。

が!ズズズズズ、とすすった瞬間、ミイラが水をぶっかけられて蘇ったみたいに痛みが完全復活しました。慌ててポケットから大正製薬のクイックケアを取り出して唇に塗りましたが、周りからはオリジナル調味料を持ち込んだ通の所業と思われたかもしれません。

 

で、土曜日は豪勢にうな重です。
平日ずっといじけたヤンキーみたいに唇をひん曲げる僕を見かねて、妻が買ってきてくれたのです。ビタミンが効くらしいぞと。
万全を期して山椒をかけるのは自重しつつ、いちいち一人で「あーん」をするみたいにして慎重に完食。ありがたみは倍、美味しさは半分、食べる時間は3倍の感慨深いひとときになりました。

 

***

と、トゥリャトゥリャ1週間を過ごし、現在も痛みは50%ほど残っている状況です。おじさんなので治りが遅いのは覚悟の上。鉢植えに水をやるみたいにしてコーヒーを流し込み、嵐が過ぎるのを待つばかりです。

人間、ちょっとしたことで頭がうまくまわらない。
大事な面接が入ったら嫌だなあ。