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僕が愛する野球ゲーム『パワプロ』に決定的に欠けているもの

今週のお題が「投げたいもの・打ちたいもの」ということで、そのものずばり好きな野球ゲームについて語ってみたいと思います。

30年近く続いている名作『実況パワフルプロ野球』。通称”パワプロ”で親しまれるこの作品が僕は非常に好きで、その歴史と並走してプレイし続けています。
と同時に、ずっと晴れないもやもやもありまして。

 

・欠けているもの、とは

端的に、「自分の好きな選手を手軽に作れない」んですよ。
「えっ!そういうゲームじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、基本的にそういうゲームです。でも、できないんです。

自分の好きな選手を作ることはできますが、”手軽"にはできません。
問題は時間がかかりすぎる or ランダム性が強すぎるところにあります。

 

パワプロで選手を作る方法まとめ

大きく5通りの方法があり、それぞれの所要時間は以下の通りです。

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①サクサクセス(すごろく的ミニゲーム) →10分
②サクセス(ストーリーモード)→ 1~2時間
③パワフェス(野球大会) →1~2時間
④栄冠ナイン(高校野球シミュレーション) →4~5時間
⑤マイライフ(選手なりきり人生体験) →10時間~

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①サクサクセスは運ゲーのため適当な選手ができます。④⑤は時間がかかりすぎるので除外するとして、だいたい②③でつくるのですが、ランダム性も強いし、とにかく時間がかかりすぎるのです。

 

大城卓三のステータス画像

・選手を手軽につくれない弊害

WBCを見ていただければわかる通り、大谷翔平選手のように全能力がA~Sランクのような完全体だけでなく、チームの中にはサブ的役割の選手もいます。
たとえば控えの大城捕手。代表なんだから一流選手に代わりはないのですが、正直②サクセスや③パワフェスならモードの中間地点くらいで作れてしまいます。ただ、サクセスはそれでも最後までプレイしなければいけないし、パワフェスはわざわざ試合して途中で負けなければならない。非常に不毛な工程が生まれるのです。

 

サブの選手を手軽につくれないとどうなるか。
まず、自分だけのチームを完成させるのにとにかく時間がかかるので、その間に飽きるといった現象が起こります。もしくは、チーム全員が超人級の能力になってしまうのもあるあるですね。先ほどの大城選手の例でいえば、モードの後半は流してプレイするはずが、一応ポイントが入るものだからついつい能力に割り振ってしまって、超強化版大城選手ができる、といったケースです。

このように、いい感じのバランス、思い描いた通りのチームを作るのが、パワプロだととにかくやりづらいんですよ。

 

・”エディット導入”をめぐる価値観の相違

数字を割り振るだけで好きな選手をつくるいわゆる"エディットモード"。要望の多いこのモードについて、かつてコナミ(製作者サイド)の方々は対談でこういった趣旨↓のことを仰ってました。
「だれでも簡単に最強の選手がつくれたら面白くないでしょ。いろんなモードで遊ばなくなる」
記事自体はだいぶ古いものですが、いまも基本方針はそこまで変わってないように見受けられます。

 

僕は、ここに大きな価値観の溝があると思うんです。
みんながみんな最強選手を作るためにエディットを求めてるわけじゃない。サクセスやパワフェスを使うまでもないレベル、時にマイナス能力も抱えたような個性豊かな選手を、手軽に作りたいんですよ。

 

やり方はいくらでもあります。エディットには能力値の天井を設けちゃえばいい。誰がどうやっても作れるレベルの選手は自由に作れるようにして、一方で最強選手は各モードを活用すると。そういうバランスにすれば。

あとは、サクサクセスの簡易的な仕様変更もアリですね。マスを踏んだ瞬間に能力が増減する仕様じゃなく、いったんはポイントがたまるようにすると。で、プレイが終了したら自由に各能力に触れるようにすればいい。ユーザーにこの程度の制約付き自由度すら与えない、というのはちょっとイマドキじゃないと思います。

 

・最近の良いゲームに共通するもの

RPGゲームにしても、最強の武器は入手しづらくて当然なんですよ。その反面、レベル上げとか材料集めみたいな泥臭い作業があって、やり方の上手いメーカーはその辺の泥臭い負担を軽減してくれます。ドロップアイテムをわざわざ立ち止まって長押し+台詞付きで拾うとかじゃなく、ポンポンポンと走りながら拾えるようにするとか。

パワプロはこの辺のUI改善意識が昔からすっぽり欠落しています。何百回も見ることになる説明演出すらスキップできず、栄冠ナインも相変わらず一行ずつ長々と能力アップ報告を観させられる。あくまで「こういう仕様です」のスタンスなので、ユーザーフレンドリーな印象は受けません。

 

スケール観、キャラや演出の作りこみは素晴らしくワクワクさせられますが……。
「プレイヤーはランダム性も、所要時間も、UIのダルさも気にせず、誰にも負けない最強選手だけを作りたがっている」
この原始的思考を少しでも改善してもらえると、僕みたいな楽しみ方をしている層も喜ぶんじゃないかと思います。
ちょっとでいいんですよ。ちょっとでもいいから見て、って感じなんですけど。