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横になって読みたい寝言

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トーキョー・バカ・コレクション

エレベーターの立ち位置。マクドナルドの呼称。焼きそばおかず論争。
関東&関西で文化の違いはさまざまあれど、どうしても見逃せないものがあります。

それは、「バカ」と「アホ」。

一般的に東の人はバカを好んでアホに憤り、西の人はその逆と言われます。まあ実際はどちらも使うし、最近は千鳥をはじめ関西勢も「バカ」の使い方が抜群だなと思ってみてますが。


ともかく。
僕は東の人間なので、やっぱり「バカ」の方に強い思い入れがあります。それは現代日本ボキャブラリーを絵の具の黒ばりに蹂躙する「ヤバイ」と並び、とんでもない汎用性を誇るのです。
色とりどりの使い方を今一度振り返っていきましょう。

「まったく、バカだねえ。」

これぞ王道のバカ。江戸前の粋ってものです。
人間の弱さや心の淀みを風呂敷でくるんで、灯篭つけて、川に流すかのような趣。これを受け取れるようになったら、男として一人前といえるんではないでしょうか。
ぜひ落語家かジャイアンツの原監督に言ってほしいです。

ねっとり感を失くして、「はー、バカだねー」というと急に野次馬然として冷たくなる不思議。

「もう、バカなんだから。」

ヒロインに抱きかかえられるバカ。これも愛を感じますね。
殴られて路上に倒れこんでる時とか(僕は経験ないけど)、酒飲んで玄関で倒れてる時とか(僕は経験ないけど)、全身全霊のエネルギー波をモンスターに向けて放った時とか(僕は経験ないけど)、一度は憧れます。

 

「はぁ‥‥バカみたい。」

アタシなにやってんだろ、のバカ。上の「バカなんだから」に懲りずに尽くし続けるとこうなります。
相手のバカさを痛感するほど、その人のために尽くした自分のバカさがじわじわと沁みてくる。寄せては返す他責と自責のバランスが見どころです。

 

「あーあー、バカバカバカバカ。」

連打系のバカ。
仕事でPCのモニターを使って相手に説明するとき、タイピングが適当すぎてごまかすときに同僚が言うやつです。ただ間を埋めるためだけに言ってるので、別に反省していません。これをやる人はいつまでも正確に打てない。根が適当だから。

 

「あそっか、バカじゃん!」

今までのやり方の間違いに打ちのめされるバカ。
人間、あまりにも気持ちよく間違いを認められるときは快感すら覚えますね。自分が悪いと気づいたら、「ごめん、これが俺が悪いわ!」としっかり宣言していきたい。

 

「すみません自分バカなもので…」

後輩が放つ自己保身のバカ。
怒られないようにするために自分のバカさを盾にするなんて、すごくさびしい気持ちになります。こんなの言っちゃダメ。

 

「バカ!すみません後で言ってきかせますんで!」

先輩から繰り出されるバカ。
軽くパーティーアタックしておくことで、取引先をガス抜きする高度な思惑が感じられます。RPGでいうと、睡眠状態から目覚めさせるのと同じ。
ただし人によってはただ責任転嫁してくるケースもあるので、見極めが肝心です。

 

「馬鹿なの?」

それ本気で言ってる?のバカ。
動物扱いするような見下し加減に、うましかの漢字変換がよく似合います。相当良い返しをしないと挽回は厳しい。

「いえ」→じゃ、なんでやったの?
「すみません」→いや質問してるんだけど
でだいたいループします。

 

「バカばっかり。」

知った風な口の、諦めのバカ。
世の中すべてが集合体に見えるほど愛を失くしたときに言いたくなります。成熟の証でも、未熟の証でもある。

とはいえ飲食バイト経験者のほとんどが、このセリフを想起したことがあるんじゃないでしょうか。トイレはそこだっつってんだろ!っていう。

 

「バッカだー!」

子供のバカ。人生初の煽り文句はこれで決まりですね。

 

莫迦だね。」

知的な人のバカ。
こう脳内変換されるときはだいたい悪い気しません。まだ偏差値50はある感じ。

 

「ヴァカ。」

ひと昔前のオタクのバカ。
ネット上で見たことあるだけで、肉声で聞いたことはありません。ヴォケ、もある。

 

「――――ばか。」

マンガアニメの女の子のバカ。ひらがな感がたまりません。
リアルでこんなのないと思いきや、僕は1回だけありました。突然、ロサンゼルスに留学すると嘘をついて相手を泣かせてしまったとき。

 

「ばかばかばかばか!もう知らない!」

マンガアニメの女の子のバカ2。もちろん未体験です。

 

「Baca.」

スペイン語で”牛”の意。闘牛はバカに追いかけられる人間を、バカが好きな人たちが見守る競技なんです。
ちなみにアホはスペイン語で”ニンニク”。平野レミさんが「バカのアホ炒め」というレシピを開発されています。

天才レシピ「バカのアホ炒め」|remy

 

「ほんと、バカじゃないの!?」

下ネタに呆れられる時のバカ。

「男ってだいたいエロいこと考えてるから」
「いやいや、さすがにスポーツしてる時は考えないでしょ?」
「全然あるよ。ボーリングの球に指つっこむときとか」

みたいな流れで言われた記憶があります。氷山の一角ですけど。

 

「お・ば・か・さ・ん♡」

姐さんのバカ。
上記「バカじゃないの!?」の行きついた先、クレヨンしんちゃんの「おばか」と交わるあたりでキラリと光る妖艶なバカです。鼻先をちょーん。

 

「バカお前(笑)」

褒められた時のまんざらでもないバカ。
そのあとに「なんか飲みたいものある?」と小ボケにつなげる確率が50%、本当におごる確率がさらに50%。

 

「…じゃねーぞバーカ!」

生まれ変わったらもらいたい、青春のバカ。
海沿いの街に生まれた僕は高校を出たら歌手になりたい夢を持ってるんですけど、何でも話せるはずの幼なじみの彼女にはどうしても言えなくて、高3に入ってやっとのことで打ち明けたら、「一緒に地元の大学行くって約束したじゃん!」と拗ねられて、距離感が生まれ、自然消滅的に別れてしまうんですけど、上京する日にはどこからか噂を聞きつけて、駅のホームにかけつけてくれて、電車と並走しながら「簡単に帰ってくんじゃねーぞ!自慢させろよな!」みたいなやつ。

 

「バカだなあ。」

ダチョウ倶楽部のバカ。というかギャグ。
やっぱり、笑いはバカあってこそだと思います。竜ちゃんRIP。

 

「バカヤロウ!」

こっちはたけしのバカ。約20%はヤクザに、残りの約80%はダンカンに向けられます。
立川談志に弟子入りしていたので”談かん”なんですよ)

東京下町が生んだスーパースターとあって、殿の放つバカには七色のニュアンスがありますね。このセリフを放った後に、抱きしめても殺してもおかしくない、レンジの広いバカです。

 

「バカなのだ。」

the バカ。I'm proud of バカ。バカといえばとやっぱりこれでしょう。

僕はバカボンのパパが通っていた「バカ田大学」の隣の大学出身。僕の妻は、バカボンのママが通っていた大学に酷似した名前の大学を出ています。さらに、僕らがいま住んでいるのは赤塚不二夫先生に縁のある場所ということで、いろいろリスペクトが強いんです。バカの聖地にいるんだ!というか。

赤塚先生の仰った、
「バカはバカでも、知性のあるバカにならなきゃいけないの」
この言葉は金言としていつでも胸の内にあります。

 

本のサイズがもうバカですねー(隣の本ですら300ページあります)

 

***

とうことで今回はただのバカ・コレクションでした。
「バカだねえ(笑)」とか、「いや、バカすぎる(笑)」といじられると妙にスッキリする時があるように、自分のバカは隠さず外気にさらした方が健全なんですよ、きっと。

「自分はバカなんで…」と卑屈になるのはダメですけど、バレるくらいなら堂々と宣言すべし。バカにしかできないことがある、と突き進むのは今の時代とても大事だと思います。

みなさんのお気に入りのバカがあったら教えてくださいね!