眠眠カフェイン

横になって読みたい寝言

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現人神・AV男優を崇めよ

 

世の一部では、黒光りしたマッチョメンに対して
「AV男優みたーい」なんて軽々しい口を利く風潮があります。

なんと嘆かわしい。
日本の現役AV女優が数万人にものぼるのに対して、AV男優の数はその数百分の1未満。
彼らはまさに「現人神」と呼ぶにふさわしい職業だと思うのです。
(※セクシー男優と表現をぼかすのすら気が咎めます)

なぜか。
大丈夫、今日から一緒に考えていきましょう。

 

 

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性は”メンタル”が重要なもの。
並の人間はカメラの前では勃起すらしないといいます。

それはそうでしょう。男性なら分かると思いますが、そのプロセスは「筋肉に力を入れれば硬くなる」という単純なものではないのですから。そのプレッシャーたるや第一線のアスリート級。いや、記録が出なければ自分の評価が落ちるだけでなく大会自体が中止になるのですから、よりハイプレッシャーと言っても過言ではありません。

個人情報だなんだと敏感になりゆく社会の中で、カメラの前で顔も肉体も局部も晒して、勃起どころか射精までもっていく。その難しさは自然界が誇るぶっかけ職人・サケの回帰率と比肩するレベルです。

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露骨なアピールを好まない日本人は、世界有数の妄想族(実際そういう名前のメーカーもあります)。アダルト動画販売サイトでは軽く100を超えるジャンルがあります。女優は自分の個性や好みを活かしたゾーンで勝負する余地がありますが、男優は問答無用であらゆるシーンへの対応を求められます。

「女の子をビンタして苦しむ顔を見るなんて嫌だなあ…」
画面に映っているところでは、そんな個人的な感情は捨て去るべきなのです。

高所。水中。全身に金箔。時間を止める装置がある、という夢の茶番。ドラマ仕立ての作品では、SからMへ、MからSへと、目まぐるしく設定が切り替わることもあります。誰も求めてない、と揶揄されがちですが、必要最低限の演技力は欠かせません。


・女優としっかりコミュニケーションをとる
・全身くまなく清潔にケアする
・台本のセリフを覚える
・プレイ中は指示に従いつつポジション取り
・共演者のコンディションに合わせてアドリブ
・しかるべきタイミングでフィニッシュ!
(カメラに合わせて秒単位で調整、ゴムを外す音にすら気を配る)

…こんなの、とんでもない離れ業です。
現場は常に男1:女1とも限らないですし、多人数になればなるほど画面に見えないところでの工夫、つまりサッカーで言うところのオフザボールの動きが必要になります。

 

 

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さらに困ったことに、男優には相手を選ぶ権利などありません。

相手は100kg超級、シニアの部、男女混合など非日常的な相手とエンカウントすることもあります。普通の男性なら「にげる」「まもる」のコマンドを選択するところですが、男優は「たたかう」「どうぐ」の2つのみ。自分の心の根底にないニーズをつくって高めていくのはまさに神業といえるでしょう。

合コンで「もうちょっと優しい感じの子がタイプかなあ」なんてのたまった大学時代の自分にギロチンチョークをかましてやりたくなります。

 

男優にとってご法度とされるのは女優に恥をかかせることです。
皆さんもよかったら、駅でたまたま隣に座った人と行為をいたすことができるかどうかシミュレーションしてみてください。あらためて、自分のストライクゾーンの狭さに気づかされるはずです。

好きじゃないものでも生きていく。
もてはやされる風潮に逆行する職人魂で、彼らはイキ抜いているのです。

 

 


アダルト業界のもっとも生々しいフェーズに焦点を当てると、
「そもそも駆け出しの女優は男優となんてSEXしたくない」
という残酷な現実が浮かび上がります。

お金のために仕方なく。有名になるためのたたき台。そんな風に、背中を向けた相手と向かい合うのがどれだけ難しいか。

演者同士は撮影前にちょっとした雑談で気持ちをほぐしあうようですが、極限の緊張に加えて身体と心の相性がありますから、やっぱりNG関係になることもあるんだとか。基本、女優はお姫様ですから、その場合は男優側の犠牲が大きくなります。

 

失敗しても、拒否されても。また次の日には別の場所で、違う誰かと撮影があります。
黒1日複数の現場をかけもちし、ちゃんと定期的な性病検査も受けてコンディションを整えても、陽の目を浴びることはめったにありません。心ないユーザーには「男優のケツいらねー」で一蹴される儚さ。

それでも。神様は誰にも祈られることなく、筋トレをしてアルギニンを飲むのです。

 

昨今のAV新法をはじめ、こういう性産業には人権が~といった話題がつきものです。業界に入るまでは女性側を適切にケアする必要性が大きいとはいえ、仕事として待遇面で報われてこなかったのはむしろ男優の方でしょう。最近になってようやく、男優同士で組合的なものをつくる動きが出てきたようですが…彼らの心身が衰えた先、豊かなセカンドライフを提唱するNPOはどこかに存在するんでしょうか?

時にはあえぎ声がうるさいこともあるでしょう。
おじさんが学ランを着て生徒役をするなと笑うかもしれない。
でも、彼らは自分たちの役割を理解し、こちらが思う何倍も知恵を絞って動いています。

 

女性に恥をかかせず、男の意気に応える。
僕はこのタフな黒子たちの活躍を、僕は陰ながら応援しています。
しみけんさん、森林原人さん、吉村卓さんあたりはYoutubeでもちょくちょく見つかりますので、インタビュー等々参考にしてみてください。

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で、最後に。
やっぱりできる女は違うなという話をしてみます。

最近は現役・引退を問わず女優さんがYoutubeを始めることも多く、定番として
「本当に気持ちいいんですか?」
といった質問に答えたりもしています。

そこでプライド高めの方だと
「いえ、全然。仕事ですから。SEXというよりスポーツなんです」
とバッサリ一刀両断する場合も結構あって。
オンオフをしっかりつけられるプロ意識を誇示し、ほんとは感じてねえから勘違いすんなよオタク共と注意喚起したい気持ちは分かるのですが、夢を売るプロの言葉としてはやや疑問が残ります。

 

そこで三上悠亜ですよ。
元AKB系出身、押しも押されぬトップ女優の答えは、

「もちろん普段のSEXとは分けているつもりです。でも、肌を合わせているとやっぱり男優さんを好きになっちゃいますよね、その時だけは」
※出典覚えていないので一言一句合っていなくてすみません

女優としてのオンオフも示しつつ、ファンが冷め過ぎない程度に人間味を残している。こういう人は、辞めてからの行く末も長いだろうなと感心しました。

 

現人神と女神様。
その神話が適切な環境で紡がれることを願っています。