眠眠カフェイン

横になって読みたい寝言

眠眠カフェイン

独りきり情熱を振り回すバッティングセンター

なんてミスチルの歌詞がありまして。
かくいう僕も、バッティングセンター(以下バッセン)が大好きです。

 

昔は生活の一部といっていいほど行ってました。
半同棲してた大塚、学校近くの早稲田、バイト先の池袋…なぜか行く先々に都合よく配置されていて、とにかく暇さえあれば金属棒を振り回す日々。

特に「女子にフラれる」「右手を骨折する」という二重苦に遭ったときは、ギブスをつけたままほとんど片手一本で打つことすらありました。傍から見たらだいぶ鬼気迫るものがあったでしょう。それくらい、ストレス解消になったんです。

 

同じスピードの球を打つだけで特に戦略性もない。ゴルフの打ちっぱなしほど爽快感もない。わずかな手ごたえと確かな疲れを得るだけでさしてダイエット作業もないこの作業の魅力を、お伝えするのはとても難しいです。

手軽な緊張と緩和? 現実逃避?
それなら、昔やってたタバコと遠からずなのかも。

 


最近も行きますが、頻度は徐々に落ちてきました。

理由の一つはお値段。昔は20本で200円台だったタバコがいまや400~500円台に爆上げされたように、バッセンも20球200円だったのが20球400円くらいになってます。八王子はまだ据え置き価格だったりするので、地域差もかなりあるかもしれませんが。(ビックマック指数みたいにバッセン指数を出してほしいくらいです)

ただ、いま個人的にもっとも更新が楽しみなYoutubeチャンネルが「フルタの方程式」。野球界きっての名捕手・古田敦也さんが最新の技術論などを語り合うコンテンツなのですが、これを見てると無性に打ちたくなる。
僕にはおよそ関係のないプロレベルの話と分かりつつも、密かに知識を取り入れては、四半期毎くらいにバッセンで実践しています。

情報を仕入れて、軽く素振りして、自分の身体と感覚に合うか試す。
このフローが将棋の研究に似ててなかなか好きです。

 

そんなバッセン、実はいろいろと気を遣う瞬間があるんです。
たとえば僕がよく行く新宿界隈では、

〇ウェーイ系大学生集団
〇興味津々の外国勢集団
カップ
〇個人勢(リーマン・ガチ経験者ほか)

がおもな客層。

 

僕はガチ経験者ってほどじゃないけど、さすがに歴も長いのでそれなりに見栄えの良い打球を飛ばすことができます。あんまり運動しなさそうな人がすっと打席に入ってカーンとこなす。この立ち位置が絶妙に厄介でして…。

あんまり張り切りすぎると、大学生は「うわあの人ガチじゃん」みたいになるし、外国人は面白がって見物に来るし、カップルは彼氏のメンツをつぶすことになってしまう。なのでムダにタイミングを見計らって打ってます。金払って遠慮するのもおかしいのに、ついつい気になってしまうI'm Japanese。

個人勢同士で隣り合わせとかも微妙に変な空気。意識してしまうというか、ちょっと張り合いたくなる。まあこればっかりはしょうがない。「お前なら俺の気持ちわかってくれるだろ、お互いマイペースにやろうぜ」って暗黙の了解でフルスイングします。

 

 

 

ずっと打ってるのも疲れるので休憩をはさむわけですが、そのあいだ人が打ってるのを見たりもします。中でも、特に動向が気になるのはカップルですかねー。やっぱり。

彼氏がガチ経験者で見せつけたい系の場合、女の子の顔つきは往々にして虚無です。全表情筋がOFFになっていて、その肌の表層をキン、キン、キン、という乾いた打球音が滑りぬけてる。そりゃ元野球部だし打てるでしょうよ、って感じで、盛り上がることは稀です。

ワイワイやってるのはむしろ男女ともに下手なパターンですね。女子もドアの中に半分入っちゃって、「すごい!けっこう当たってるじゃん!」とナチュラルに盛り立ててる。そんなとき、僕は後方腕組みにっこりおじさんになってしまいます。

 

もっとも緊張感があるのは、
「彼氏が張り切るのにイマイチ」かつ「女子が結構分かってる」パターンでしょう。彼氏はつき合いたてなのか悪い意味で虚勢を張ってて、あれ?おかしいな?とか言いながら緊張してドツボにハマるやつ。

上の白黒画像はまさにそんな2人でした。バットみじかみじかなのに明らかに振り遅れてる彼氏を見かねて、女子がこっそりスピードを下げてあげる。それはそれでタイミングが外れて大空振りしてましたが、世の中には見えないやさしさがたくさんあるんだ!と感動したワンシーンでした。

一方お前はなんでそんなもん撮っとんねんとお叱りを受けるかもしれませんが、ピューリッツァー賞とかだいたいそうじゃないですか、ねえ。