気になる言い回しシリーズ「プロレス」「ピンポン」「おじさん構文」

日頃からさんざん誤字っておいてなんですが、それなりに言語感覚は繊細だと自負しています。少なくとも、世の中平均よりは。

西に「最近アナルがかゆくて」という者があれば、
「アナルは形容詞だからそれを言うならアヌスかアスホールですよ」と訂正してあげるのもやぶさかでじゃありません。通報されちゃうからやらないけど。

そんな敏感体質な僕には、なんとなーくひっかかる言葉が3つあります。

「プロレス」

最近は若いアイドルなんかでも、
「こっちはプロレスでやってるんだから、キレないでよ」
なんて言い方をしたりします。

暗黙の了解で設定をつくってじゃれあうことを端的に言語化できていると思うし、とくに侮蔑の意図も感じません。ああ、若い子にはプロレスのもつ”ショー”のニュアンスがしっかり伝わったんだなあと感心するくらいです。
八百長だろ？なんて味のないことを言われた昔よりはよっぽどいい。

ただ、ほんの少しだけハッキリ言い過ぎな気がしなくもなくて。プロレスの”決め事要素”なんて、それこそタレントの美容整形みたいにタブー中のタブーでしたから、昔から見てきたファンほど違和感が強いはずです。実際、くりぃむしちゅーの有田さんが「複雑な気分」と発言していたことがありました。

たとえば、美容整形が誰でも公開しちゃうくらいに市民権を得たとして、大昔に整形した大御所女優に、若い子が「〇〇さんはいつ整形したんですか？」って聞くようなヒヤヒヤ感。まあ、きっと杞憂なんですけどね。

それくらい昔のプロレスラーは冗談が通じないイメージだったし、簡単にイジれない人ばかりだった。長州力さんは今でこそニコニコしてますが、僕らにとっては毘沙門天とかと同じカテゴリみたいなものですから。そういうガチの方々へのリスペクトを考えると、”プロレスのノリ”なんて軽々しく言えないのです。

てきたら広くプロレスと言わず、お笑い要素の強い団体名にしてほしい。それハッスルじゃーん、とか。意味変わっちゃうか。

「ピンポン」

インターホンじゃなくて、卓球のです。
これは元卓球部員として当時者目線になるんですが、人が全力で頑張ってることをオノマトペでくくるのどうなの？って若干モヤモヤする。

だって水泳ならザブーン、体操ならクルクルリン、トランポリンならポイーンとかそういうことですよ。なんでそんな赤ちゃん言葉みたいな扱いなのっていう。データ入力の仕事してて、カタカタうまいねーって言われたら嫌でしょう。
卓球はピンとかポンだけじゃなくてシュッもパスィーンもあるんだから。

これ、ややこしいのが、ピンポンって言葉を”卓球関係者側”が広めてきた言葉だってことなんですよね。19世紀にスポーツ用品販売業者が商標を取って、ラケット＆ボールセットを普及させた。でそのまま日本に伝来した。そりゃみんなピンポンと呼ぶやろという話で。（ピンポンパーティーなるものもあったそうです。楽しそうじゃねえか）

日本でも窪塚洋介主演で同名の映画がヒットしましたし、ネーミングとしてとてもキャッチ―なのは異論ありません。

ただそうはいっても、プレイヤー側からするとちょっと嫌なんじゃないかなあ。僕が知る限り公式の団体やプロ選手がピンポンって言ってるの聞いたことない。もしかしたら商標絡みかもしれないけど、それを除いても「普及に役立つなら使ってどうぞ、でも僕たちは言いません」くらいのスタンスじゃないかと推測します。