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元肥満児の憂鬱 ~デブが痩せれば世界が拓ける~

引き続きダイエットに励む毎日です。
久々に強度の強い運動で身体が悲鳴をあげていますが、あんまり失敗するイメージがありません。なぜなら、心の奥底に強烈なトラウマがあるからです。

というのも、僕は昔、肥満児でした。デブと言われたのは星の数(ついでにチビもその半数ほど)。幼少期にそうした無遠慮な悪口を浴びたことがあるかどうかで、人の痛みの理解度がだいぶ違うんじゃないかと思ってしまう。それくらい濃厚な原体験です。なにせ顔立ちとか性格はほぼ無視されて、自分の属性ほぼすべてを「デブ」の大枠でくくられて過ごすんですから。

今回は自分の半生を振り返りつつ、デブ前(B.D)デブ後(A.D)の変化を綴っていきます。

 

 

1. デブュー当時(小4~)

みんな大体そうだと思うんですけど、気がつけばデブでした。

両親が共働きのため外食&出前三昧。バブル真っ只中で景気は良かったので、一緒に過ごす時間はぜいたくをさせてあげようと思ったんでしょう。若手にあるまじきブランド牛など食べ、そこに中学受験の運動不足が加わって。僕の肉体はすっかり仕上っていったのです。

デビューならぬデブューとともに周りからの誹謗中傷が増えていきます。シンプルデブなり、動物に例えられるなり。まあ僕も男子ですし、ガチな色恋関係がある年齢でもないので比較的ノーダメージ。デブですけど何? So What? マイルズ・デイヴィス吹いたろかと。

むしろ、遠回しに「ぽっちゃり」とか「ガッチリ」とか言い換えられるほうが心に来ました。「ずんぐりむっくり」とか最悪ですよ。なんか夜中に階段を前転して往復する妖怪みたいじゃないですか。せめて人間がいい。

 

ということでデブとしてウブだった僕は、自分が太ったというより「そういう枠で生まれたもの」としてごく自然に受け入れました。キャッチャーをやり、ゴールキーパーをやり。自分も給食をガンガン食べて期待に応えたりもして。改善しようという発想が最初からなかったんです。

同じクラスの違うデブとは、野球チームで外国人枠を争ってるみたいな心境。ライバル&シンパシーデブ、略してランデブーと呼んでもよいでしょう。

 

それにしてもうちの親といったら。さんざん太らせて男子校に放り込むなんて。フォアグラじゃないんだから、ブリーダーとして見た目と健康面にも気を遣ってほしいものですよ、まったく。

 

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2. 志半ばで野球を引退(中1~)

中学に入ると少しずつ実害が顕在化していきました。男子校ですから、モテたいとかフラれたとかじゃないんですが…

一番つらかったのは、ガチ目のスポーツ活動でついていけなくなったこと。小さいころから野球好きで、当たり前のように野球部で過ごすつもりでいたのに、体力的制限からでどんどん嫌になってしまいました。細かいサインプレー、献身的なベースカバー、きわどいインコース打ち。何をするにもことごとく全身の肉が邪魔。血湧く前に肉が躍りすぎるのです。

夏場に入ると汗疹がひどい。みんなが手に滑り止めの粉とかをふってる時に、こっちは内ももに天花粉 みたいなの塗らなきゃいけないんですから。中学生のイジリはだいぶエッジィですし、好きだった野球もどんどん嫌いになってしまいました。結果、中1の途中であえなく退部。

そんなとき、僕をそっと支えて包んでくれたのが卓球です。以前書いた記事(【卓球】激カワ後輩ちゃんとの激闘)にもある通り動かないで良い方法を模索し、僕は楽しいスポーツライフを送ることができました。

 

3. 難病疑惑(中3~)

ある時期を境に突然痩せ始めました。普通ダイエットって何かしらのきっかけがあると思うんですが、僕の場合は本当に拍子抜けするくらいあっさりとスリム化を果たしました。しかもありえないことに、まったく自覚がなかったんです。

だって、痩せたからと言って誰からも褒められるわけでもない。体重の数値も変わっていない。155cm60kgが170cm60kgになっただけなので、健康診断をうけても「また60kgかー」くらいに思っていました。

原因は分かりません。おそらく卓球がすべてではないでしょう。だって、フットワークなんて使ってなかったので。
ほかに思い当たる節があるとしたら、片道1キロ以上ある通学路でしょうか。卓球を始めてからは必ず部活のメンバーと帰っていたし、奴らはマジメだからあまりマクドナルドとかも行かなかった。雑にまとめると「食生活の改善」ということですね。

 

本気で自分は痩せたんだと悟ったのは、風呂あがり上半身裸になった僕を、父親にたまたま見られたとき。
「おい、お前ガンじゃないか」
とすごい真顔で言ってきたんです。あまりに怖すぎて、鏡を見て、あれ痩せてんのかなってこの時やっと自覚しました。

 

4. 俺氏、人間になる(高1~)

うちの学校は高校になると私服になります。また、外部生が入ってきます。この劇的な変化を経て、やっと化学反応が起きました。

僕の昔を知っている連中は「ネムヒコ=デブ」の色眼鏡をかけていますが、外部生はプレーンな目で見るわけです。「服買いに行こうよ」「今度合コン行こうよ」みたいに誘ってくる。僕は特にいじめられていたわけではないですが、デブはどうしてもマスコット的な扱いになるので、こうした男としての扱いは新鮮でした。

 

するとどうでしょう。そんな扱いを見た従来の友達の中にも、僕を痩せたと認識する人が急に増えたんです。言われてみれば、っていう…本当に不思議な現象なんですけどね。

「最近ネムヒコかっこよくなったね」という者。
「俺も痩せたいんだ。コツ教えてくれよ!」という者。
同じデブプリズンで過ごした者たちが、シャバへの脱獄方法を聞いてくるのです。こういうことが重なるたび、人間になった実感がひしひしと湧いてきました。

ぜい肉と先入観から解き放たれた身体は軽いのなんの。
スポーツテストで100mを走った時、わしゃフォレストガンプか!とセルフツッコミしたくらいです。はしれるじゃーーーん!

 

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5. デブからの転生(~現在)

もしポリシーもなく太っていて、自分の人生を辛いと感じている方がいたら、ぜひ1回本気で痩せてみてください。暑くない、汗も出ない、歩くの楽、服選び楽しい、キャッチャー以外も守れる、突然アゴをたぷたぷされない。世界は大きく変わりますよ。

どうしても無理なんだよ!という方もいるでしょう。
それでも、「いや辛くてもその価値はあるよ」と冷静に伝えたい。だって別人に生まれ変わった感覚が味わえるわけですからね、こんなにドラマチックな見返りはないですよ?

僕は見た目への執着とかではなく、あの時の変身した感動が忘れられないので運動へのモチベーションが高いんです。(太ることへの恐怖も強い)
無事また痩せたらコツなども投稿しますので、該当する方はぜひ一緒に頑張っていきましょう。

 

最後に、意外なデメリットもお伝えします。

僕は中学受験して地元から数駅離れた学校へ進学。そこで劇的で痩せたために、ガチ地元では誰も僕に気づいてくれなくなったのです。彼彼女らにとって僕のステータスはいまだにデブなのですから。こっちは街を歩いていて同級生を認識できるが、向こうはわからない。いわばマジックミラー状態。

ごくたまに地域のつながりかなにかで同級生と会うと、死ぬほど驚かれます。僕からしたら20年も前の話なので、なんとリアクションしていいのか困るんですが。

「身体、半分になってるじゃん!」とか。
いや、ずっと体重はおんなじなんですけどね。