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「やむおえない」の誤用はやむをえないのか

世の中、賢くてバランス感覚のある人だらけ。自分なんて本当に大したことないと感じることばかりです。ましてや全国放送のアナウンサーともなればその最たるものでしょうし、人やメディアを通じて、適切に情報を得てきた方…

のはずなんですが。

それがなぜ、

「やむおえない」なんてメジャーな誤用をしてしまうのか。
これは僕が長年にわたって抱えている疑問のひとつです。

 

もちろん誤用の中にも仕方ないだろってパターンはありますよ。

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・本来「プエルト リコ」→「プエル トリコ」と誤読
日本人にはなじみがなさすぎる

・本来「的を射る」→「的を得る」と誤用
「得る」でもニュアンスは分かる(ターゲット獲得、みたいな感じで)

・本来「役不足は”自分には物足りない仕事”という意味」→「”自分は未熟なのでできない”という意味」と誤用
そもそも字面が紛らわしい、どっちとも取れすぎ
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とか。
こういうのは、誤用ルートに行ってしまう気持ちも分かります。

一方、「やむをえない」には誤用してしまう理由がないんですよ。
字さえ知ってれば<止むを得ない→止めることが得られない→するのが避けられない>と転じるイメージがわきますが、(英語のcan't stop ~ing的な)

「やむおえない」はさっぱり分からない。
いったい脳内でどんな漢字に変換してるの?
やむ おえないって発音する人は”やむ”をなんだと思ってるの?
と、気になってしまうのです。



 

ここまで見てくれた大らかな方は、僕のことを「ダメだこの偏屈ジジイ」みたいな目で見ているかもしれません。いや、全然いいんですよ。友達同士のストリートトークで間違えるのは。人間、別に言葉に詳しくなくたっていい。

たとえば僕だって<金輪際>とかよく分かってないですしね。ドラマかなんかで父親が「うちの娘とはコン、リン、ザイ!」と叫んでも、そういやこんりんざいって何…魔法みたいでかわいい…!とか疑問に思うことはそうそうないです。


「やむをえない」が気になるのは、
ニュース番組とかの信用が大事な場で使われ、登場頻度が高くて、アナウンサーやコメンテーターといった活字慣れした方々が間違えるから。

字面を知っていれば発音は想像つくだろうし、人と話しているうちに「俺の発音おかしいかな?」って分かりそうなもの。なのにみんな平気で「やむ おえないですよねー」とか喋ってる(せざる おえないもある)。
それを見て、僕はその使い方やむべきやむべきーとツッコんでるわけです。

何もその辺のパリピが「あの状況でお持ち帰りはやむ おえなくね?」と言ってたとしても、ただトータルテンボスを思い出すだけなんですけど。

 

まー、電子レンジをレンジレンジって言っちゃう子が増えてるインスタントな世の中です。言葉なんて伝われば何でもいいって感覚派は増えるでしょうが、せめてアナウンサーくらいはちゃんとしてほしいと思う次第です。