(出会い編)からの続きです。
大塚は文学と、山手と、アジアンと、風俗と、いくつかの風が交じり合う街だった。結果なんにも匂いしないけど。
僕は朝、無理やり起こされてZを見送ると、まだシャッターの閉まっている街の片隅に座り込んで煙草を吸った。当時の一張羅は上下ともZからの借り物。シャカシャカ素材の緑の短パンに、鉄腕アトムのパチモンみたいなイラストが書いてあるラグランTシャツ。当時の僕は痩せこけていて、髪は銀のメッシュである。どう見てもあやしい。たまたま街に降りたところを保護された狼少年のようだった。
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